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  • 通信:持続可能な漁業を実現するために(2010年06月26日)

    ※「美しい海をこどもたちへNo.4」(JEAN/クリーンアップ全国事務局、2006年12月発行)より転載。この原稿は2006年12月に執筆されたものです。 

    (財)地球・人間環境フォーラム 企画調査部主任研究員 満田 夏花
     

     開発途上国における開発と環境社会問題をテーマに、現地調査に基づく開発の環境社会影響の評価、調査研究に根ざした政策提言活動を行うことを目指す。最近は、「開発途上国における企業の社会的責任」、「国際金融機関の環境社会配慮」、「原材料調達のグリーン化支援」調査に従事。明治学院大学非常勤講師など。
     


     

     最近、魚にまつわるニュースが増えている。2006年11月9日には、日本とヨーロッパの大手企業数社が、資源危機に配慮し、地中海産のクロマグロを取り扱わないことを表明した。さらに、同年11月20日、総合スーパー最大手のイオンが、全国の「ジャスコ」「マックスバリュ」など660店舗で、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)認証ラベル付き魚介類を販売開始することを発表した。日本人に身近な「魚」に、今何が起こっているのか。

    危機に立つ海の資源
     人類はこの50年の間に、マグロ、カジキ、メカジキ、サメ、タラ、オヒョウ、カレイなど海洋性の大型捕食性魚類の少なくとも90%をとりつくしてしまったことが報じられている(2003年3月『Nature』誌)。大型トロール船、延縄漁船が各海域で広範に操業してきた結果、多くの大型魚類に大きなダメージを与えてきた。加えて、漁業資源を支えるサンゴ礁などの生態系の破壊、乱開発、水質汚濁、エルニーニョ現象による海水温の上昇、およびこれらの複合的な作用が漁業資源への脅威となっている。さらに2006年11月にはアメリカの科学雑誌『サイエンス』に、2048年までに天然の魚介類が壊滅してしまうという報告が掲載された。

    「海のエコラベル」=MSCラベル
    20100626w1.gif このような海の資源の危機を背景に、「持続可能な漁業」を認証し、マーケットを通じて促進していこうという試みがはじまった。MSCによる認証制度である。
     「MSCの立ち上げの背景には、原料の調達先であったカナダ東部のタラ漁の破綻があります」と、MSC事務局のルーパート・ホウス氏は言う。過剰漁獲などにより、タラの水揚げ量が激減し、2000年にはタラの成魚の数が10年前に比べてわずか3%程度にまで落ち込んだのだ。
     MSCは大手食品・消費財メーカーのユニリーバと国際的な自然保護団体WWFとの共同事業として1997年に発足した後、1999年に独立。300件に及ぶコンサルテーションを経て、「過剰な漁獲を行わず、資源を枯渇させないこと。資源が枯渇している場合は、回復できる場合のみ漁業を行うこと」「漁場となる海の生態系やその多様性、生産力を維持できる形で漁業を行うこと」等の原則・基準を作成した。
     MSCが認証機関を認定し、この認証機関がMSC基準に照らして、漁業および加工・流通段階の管理(CoC)を認証する。現在までに、14の漁業が認証を取得、20件が評価中、320のMSCのラベル付の製品が欧米を中心に流通している。
     日本は世界有数の水産物の輸入国であり、世界中の漁場で獲れた魚介類がスーパーに並ぶ。しかし、MSCの認知度は非常に低い。築地の仲卸である亀和(かめわ)商店は、2006年4月、日本で初めてMSCによる流通過程認証を取得した。亀和商店が輸入するアラスカ産サーモンなどにMSCマークをつけて販売することが可能になった。亀和商店の和田社長は、認証取得の動機について「市場には毎日何千トンも魚が入荷し、漁業資源の枯渇についてはなかなか気づかないが、卸をしていて供給が不安定になっていることを実感することがある。魚の乱獲が進む状態を放置していては、事業としても不安定になる。持続可能な漁業に我々も取り組む必要性を感じた」と語っている。

    破壊的な漁業に「ノー」
     MSC商品はまだまだ少数であり、認証に時間とコストもかかり、現在のところ供給量が少ないのも事実だ。また、MSCのような「良い」ものを購入するだけでなく、違法漁業など破壊的漁業からの魚介類など「悪い」ものを避けることも重要である。このため、日本においては、WWFジャパンがマグロに焦点を当てて持続可能な漁業のための取り組みを呼びかけている。=>www.wwf.or.jp 西友は2006年11月、枯渇が心配される地中海のクロマグロを取り扱う予定がないことを表明している。
     海外では、大手小売チェーンのマークス&スペンサー(本社:イギリス)は、MSC商品を積極的に取り扱うほか、資源・生態系配慮などの視点から20種の魚種を取り扱わないという方針を立て、また、海洋保全協会の消費者向け魚種のデータベース作成を支援している。=>www.fishonline.org
     シェフ、ホテル経営者、小売業者、漁業者の集まりであるSeafood Choice Alliance(事務局:米国ワシントンDC)はレストランやホテル、市場に対して個体数の急激な減少が見られる種の取り扱いをやめるように呼びかける運動を行っており、財布に収まるサイズの情報カードを発行、買い物や食事の時の注意を呼びかけている。
     海の資源の危機に際して、日本の持つ責任は大きい。購買を通じて「持続可能な漁業」を支え、さらに破壊的な漁業に明確に「ノー」という行動が求められている。

    参考
    「発展途上地域における原材料調達グリーン化支援事業 サプライチェーンを遡ってみれば」
    WWFジャパン「海洋」のページ

    通信4号写真.jpg

    写真:日本で初めてMSCの流通過程認証を取得した亀和商店の和田一彦社長


    ※「美しい海をこどもたちへNo.4」(JEAN/クリーンアップ全国事務局、2006年12月発行)より転載。この原稿は2006年12月に執筆されたものです。

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