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  • レポート:鹿児島での発泡スチロール製フロートに対する取り組み(2010年06月01日)

    ※「クリーンアップキャンペーン2001レポート」(JEAN/クリーンアップ全国事務局、2002年発行)より転載。この原稿は、2002年に執筆されたものです。 
     
     
    クリーンアップかごしま事務局 藤枝 繁
     

     昨年度のキャンペーンの結果,鹿児島県海岸では発泡スチロール破片が漂着散乱ゴミワースト1となりました。この破片の散乱漂着は,養殖生簀の浮力体として海上で多用されている発泡スチロール製フロートの処分方法の未確立による廃棄後の不適切な管理や,使用および漂着フロートの放置が一因と考えられます。そこでクリーンアップかごしま事務局では,発泡スチロール破片散乱の現状を改善するため,下記の提言を改善活動の第一に掲げ,以下のような取り組みを行いました。

    「平成12年度提言1 発泡スチロール製品の海上,海岸付近での使用を控えよう。」

    1. 発泡スチロール製フロートおよび破片に対する事務局の取り組み

    平成9~10年
    ○魚類養殖が盛んな鹿児島湾において発泡スチロール製フロートの漂着量調査を実施。
    結果:漂着(3,043個),防舷物(4,856個),海岸放置(1,344個)

    平成11年4月
    ○上記内容を日本水産学会にて発表。

    平成10〜12年
    ○鹿児島県海岸において発泡スチロール破片の漂着埋没量調査を実施。
    結果:鹿児島県68海岸77点中65海岸74点で発泡プラスチック破片を確認。発泡プラスチック破片は総漂着埋没物量(個数)の92.6%を占め,その9割が直径0.3〜4mmの微小破片であった。

    平成13年

    4月 
    ○ 上記内容を日本水産学会にて発表。
    ○ 鹿児島県漁連総務部漁政指導課を訪問。
    事務局:報告書を提出し,発泡スチロール破片散乱の現状を説明。廃棄フロートの処分と硬質フロートの導入状況を聞く。
    ○ 発泡スチロール製フロートのメーカーに問合せの手紙を送る。
    内容:発泡スチロール製フロートの海上での使用は大量の破片を発生させる。世界的問題となっているが,メーカーとして認識はあるか?

    5月
    ○ 粕谷製網(株)1)を訪問し,硬質フロートの販売状況等を聞く。
    要約:平成12年より(株)モルテン製の硬質フロート(モルフロート)を垂水市漁協に提案し,導入開始。(現在1万本以上使用。)

    6月
    ○ 上記手紙を受けて発泡スチロール製フロートメーカー,発泡スチロール再資源化協会が来所。廃棄フロートの処分・リサイクル問題について協議。
    来所:(株)マリンフロート,(株)大西化成(日本フォームスチレン工業組合),(株)ユニスター(九州フロート製造協議会),発泡スチロール再資源化協会2)
    事務局:クリーンアップキャンペーンとこれまでの研究調査の結果を用いて発泡スチロール破片散乱の現状を説明し,改善に向けた協力を要請。
    組合・協会:平成12年よりリサイクルに向けた検討を開始し,まもなくリサイクル施設が稼動する予定。
    結果:組合・協会には海岸での破片散乱の現状を認識してもらい,破片発生の防止処置,使用者への適切な管理・使用の啓蒙,処分方法を検討することになった。
    ○ 粕谷製網(株)の協力により,垂水市漁協3)で行われた新日鐵化学(株)4)による廃棄発泡スチロール製フロートの粉砕減容回収機デモを見学。

    7月
    ○ (株)スタイロジャパン5)来所。海岸で回収された発泡スチロールゴミの処分方法について相談。

    9月
    ○ 新日鐵化学(株)来所。廃棄フロートのリサイクルについて相談。
    事務局:廃棄フロートの粉砕減容回収および新日鐵化学(株)社製硬質フロートについての展示用パネルの提供依頼。
    ○ カキ養殖が盛んな広島県江田島・倉橋島周辺海岸において発泡スチロール製フロートの不適切使用の実態と破片の漂着量調査を実施。
    結果:防舷物(6,760個),破片は分析中

    11月
    ○ ブリ養殖が盛んな鹿児島県長島周辺海岸において発泡スチロール製フロートの不適切使用および漂着量調査を実施。
    結果:防舷物(884個)

    2002年
    3月
    ○ 三井鉱山(株)三池事業所(福岡県大牟田市)内の廃棄発泡スチロール製フロートのリサイクル施設見学。

    ===========
    1)粕谷製網(株):養殖生簀等に使用される(株)モルテンおよび新日鐵化学(株)社製の硬質フロートを販売。
    2)発泡スチロール再資源化協会:発泡スチロールメーカー出資によるリサイクル協会。
    3)垂水市漁協:ブリ・カンパチ養殖が盛んな漁協。硬質フロート(モルテン社製品,新日鐵化学社製品)への転換を平成12年より行っている。鹿児島県内で最も早くからフロート問題に取り組んでいる漁協。
    4)新日鐵化学(株):硬質ポリエチレンで被覆された発泡スチロール製フロートのメーカー。フロートの製造だけでなく,粉砕圧縮減容機による使用済発泡スチロール製フロートの回収リサイクル事業を開始。
    5)スタイロジャパン(株):石油系溶剤を用いて発泡スチロール製品を減容回収し,再生樹脂を製造する鹿児島県内メーカー。
    ================
     

    2.組合・協会の取り組み

     発泡スチロールは平成12年度21万トン生産され,およそ1,500トンがフロート用に使われた。発泡スチロールは58%が再資源化されており,プラスチックの中で最も高いリサイクル率である。
     日本フォームスチレン工業組合では,平成13年7月に組合内に「フロート協議会」を設置し,以下のような取り組みを行うことを決定した。

    (1) 全国のフロートの実態調査
    (2) 統一の製品基準の作成
    (3) フロートの取扱説明書の作成
    (4) 破片の出ないフロートの開発
     また発泡スチロール再資源化協会では,平成13年度破片散乱防止に向けて以下のような取り組みを行った。
    (1) 6月に大牟田市に廃フロート処理施設を開設
    (2) 6月に岡山市で開催された牡蠣養殖業者の全国大会で注意書きを配布
    (3) 鹿児島県の漁協から現状をヒヤリング
    (4) ポスターを作成



    3.発泡スチロール製フロートのリサイクル方法

     発泡スチロール製フロートは,大型で,内部に異物が混入されたものもがある。また廃棄フロートは海上で長期間使用されていたため汚れ・塩分・水分を含み,マテリアルリサイクルが最も困難な廃棄物とされてきた。しかし不純物が多いものの使用量が多く単一素材を大量に確保出来ることから,平成13年より建築資材としてのマテリアルリサイクルが可能となった。ただしフロートの購入価格が約2,500円であることから,使用者が負担する現在のリサイクル費用1,000円ではリサイクルの促進は難しい。今後はリサイクル費用の低減に向けた技術開発と制度整備が課題である。
     以下に関係企業,協会から得た資料を用いて発泡スチロール製フロートの処分・リサイクル方法についてまとめた。

    (1) 埋立処分<産廃処分場>
     これまで廃棄発泡スチロール製フロートは産廃処分場に処分費用1本500円で引き取られ,埋立処分されてきた。しかし処分場の増設が難しくなってきた今日では埋立処分も限界となり,大型のフロートの処分を敬遠する施設も出てきた。現在処分費用が1本1,000円することから,処分を控える使用者が出てきた。このような背景より,製造メーカーもリサイクルの必要性を考えるようになり,以下のようなリサイクル技術が開発された。

    (2) サーマルリサイクル
    ○セメントキルン燃料<新日鉄化学(株)>
     廃棄フロートが集められた現地で粉砕圧縮減容機を用いて減容し,名古屋のセメント工場に運搬してセメントキルン燃料として利用されている。(処分費用1kg 200円)

    (3) マテリアルリサイクル
    ○軽量コンクリート原料<新日鉄化学(株)>
     (2)の粉砕圧縮減容機を用いた回収量が年間6万本確保されれば,軽量コンクリート原料としてリサイクルする計画。特徴は,現地で発泡状態を保ったまま粉砕圧縮し,体積を20分の1に減容することで回収コストを低減したことと汚れ,水分,塩分が含まれていてもリサイクル可能であること。(処分費用1kg 200円)

    ○軟弱地盤改良資材<三井鉱山(株),発泡スチロール再資源化協会>
     三井鉱山(株)三池事業所内にあるリサイクル施設で回収された廃棄フロートを粉砕し,熱風で溶かしてインゴット(スチロール塊)にしている。(体積50分の1)この施設は平成13年6月より稼動している。今後,インゴットを再形成した軟弱地盤改良資材は,上記軽量コンクリート同様,土木現場で大量の需要が見込まれる。(処分費用1本1000円)現在,輸送コスト低減を目指し,フロートを現地で粉砕減容する器機を開発中。

    ○原料への再生・再発泡化<(株)スタイロジャパン>
     現在(株)スタイロジャパンでは,食品トレーや梱包資材など陸上で使用される発泡スチロール製品を石油系溶剤を用いて減容回収し,ポリスチレン原料に再生している。(再原料化)ただし,海上で使用された発泡スチロール製フロートは異物・汚れ・塩分があり,溶剤減容による再原料化には適していない。現在,廃棄発泡スチロール製フロートを溶かさずに再発泡させる技術を開発中。



    4.まとめ

     昨年ようやく不純物が多くマテリアルリサイクルには適さないとされてきた発泡スチロール製フロートも,建築資材としてリサイクルされる需要が見込まれるようになってきた。現在のマテリアルリサイクルには,どの処分方法を用いても1本1,000円のリサイクル費用を使用者が負担しなければならない。98%が空気の発泡スチロール製フロートのリサイクルには,輸送コストおよび輸送によるCO2発生の削減のため,現場で減容回収するシステムの普及とリサイクル費用低減に向けた技術開発,およびリサイクル推進の制度導入が必要である。また海岸には漂着散乱するフロートや,プレジャーボート所有者が防舷物として再利用しているフロートも多く,現在のコストではそれらの回収リサイクルはさらに難しい。海岸での発泡スチロール破片散乱の防止には,廃棄・漂着フロートや不適切使用されているフロートをいかにこのリサイクルルートに乗せるかが課題である。
     ただし,リサイクルができるからといって海上での不適切な使用を認める訳にはいかない。リサイクルルートの確立と共に,破片化しないフロートの導入,管理の徹底に関する制度の検討も今後の課題である。

     

    ※「クリーンアップキャンペーン2001レポート」(JEAN/クリーンアップ全国事務局、2002年発行)より転載。この原稿は、2002年に執筆されたものです。 

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