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通信:愛媛大学沿岸環境科学研究センター等による「海ゴミ研究プロジェクト・海ゴミによる化学汚染物質輸送の実態解明とリスク低減に向けた戦略的環境教育の展開」への協力

2011年06月01日 カテゴリ:2011 , 美しい海をこどもたちへ

※「美しい海をこどもたちへNo.21」(一般社団法人 JEAN、2011年4月発行)より転載。この原稿は、2011年4月に執筆されたものです。

JEAN代表理事 金子 博  


 海ゴミ研究プロジェクトは、愛媛大学沿岸環境科学研究センターの磯辺篤彦教授が中心となって進めているものです。主に東シナ海における海洋ごみの海上移動について、海洋物理学の観点から科学的に探求していくもので、2007年度から3ヵ年計画で取り組まれました。大陸周縁部から海域に流出したごみが、海流の流れや季節風の影響を受けながら長崎県の離島海岸に漂着していくあり様を、シミュレーション解析と漂着側の状況を重ね合わせることによって明らかにし、ごみの漂着予測手法として確立しようとする研究です。

 JEANは、長崎県五島市において住民の協力を得ての海岸漂着ごみの状況把握調査に協力しました。ごみの漂着予測ができると、大量に漂着するタイミングをねらって効率よく回収処理していくことが可能になります。

 この研究は、一定の成果を挙げることができました。次のステップとして表記のように海洋ごみを「化学汚染物質」としてとらえることによって、環境へのリスクの低減化に焦点をあて、被害甚大な海岸を抱える地域において海岸漂着ごみ対策が促進されるよう、科学的調査で得られた知見を分かり易く提供していく「海ゴミ・サイエンスカフェ」を国内数箇所で開催していくことになりました。

 JEANでは、2010年度からの第2ステップの研究プロジェクトにおいて、この「海ゴミ・サイエンスカフェ」を山形県酒田市(飛島)及び沖縄県石垣市での開催を担っています。これまでのサイエンスカフェの開催日と会場は以下のとおりです。

 

 開催地(1) 山形県酒田市(飛島)

  第1回 2010年6月30日 酒田市公益研修センター

  第2回    10月17日 東北公益文科大学 及び 眺海の森さん

  第3回 2011年2月15日 酒田海洋センター

 開催地(2) 沖縄県石垣市

  第1回 2010年9月27日 石垣市総合体育館

  第2回    11月28日 とぅもーるネットセンター石垣

  第3回 2011年2月21日 環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター

<http://www.outdesign.net/umigomi/>

 サイエンスカフェは、専門的な知識が必要で難解な科学的な話題について、研究者自らが一般市民と対話していく双方向型の懇談会(カフェ)です。酒田市と石垣市での開催には、それぞれ地元で海洋(海岸漂着)ごみ問題に取り組んでいるNPO関係者に協力いただいています。

 初めてのサイエンスカフェでは、この研究プロジェクトのこれまでの成果と第2ステップの研究計画について研究者から報告いただき、参加者との質疑、意見交換を行いました。

 それぞれ第2回の開催時には、研究者と共に漁具や容器、大きめの破片などの海岸漂着ごみを60数点回収しました。これらを愛媛大学に送り、蛍光X線分析装置を使って重金属類の含有量を分析し、その結果の報告を中心に第3回を開催したところです。とくに漁具の一部に鉛が高濃度で検出されたことから、調査結果の公表にあたっては地元関係者への事前周知を行うなど、万が一にも風評被害に発展しないような対応を行っています。

 サイエンスカフェの目的には、科学的知見を“冷静に”受け止め、どのように対応していくかを関係者で情報を共有しながら考えていく、行政や市民側の「訓練」という一面もあるのではないでしょうか。海洋ごみ問題への対応では、一歩踏み間違うと犯人探しや回収処理に没頭しがちになります。対策を目的の調査も、調査が主目的になってしまい、課題の解決から乖離していくことも見受けられます。海洋ごみをテーマに掲げたサイエンスカフェの試みが、「訓練」を積み重ねた先の、美しい海辺を取り戻すことへつながることに期待したいと思います。

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