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通信:北西ハワイ諸島、ミッドウェー環礁を訪れて その1 概括編

2011年09月10日 カテゴリ:2011 , 美しい海をこどもたちへ

※「美しい海をこどもたちへNo.22」(JEAN/クリーンアップ全国事務局、2011年8月発行)より転載。この原稿は、2011年8月に執筆されたものです。

 

JEAN 小島 あずさ  

 

 十数年来の念願が叶い、2011年6月6日~13日の日程でミッドウェー環礁に行ってきました。

 NPO法人OWSが主催する「調査&ボランティアツアー」に参加したものです。鹿児島大学の藤枝先生も参加して、島内を歩きつくし、ツアー参加者の協力も得て、千本を超えるライターを集めました。(調査結果等は次号で!)

 北西ハワイの海域は、大量の漂流物が集まる「北西太平洋ごみベルト地帯」と呼ばれている場所で、近年では『ナショナルジオグラフィック』でも、プラスチックごみによる海洋汚染のホットスポットとして紹介されるなど、注目を集めています。広大な海の上に、プラスチックごみの島があるようなものだ、とか、プラスチックごみのスープなどとも表現されており、この地域で繁殖するコアホウドリやハワイアンモンクシールなどに、ごみの誤食や絡まりの被害が生じていることは、JEANの活動開始当初から指摘されていました。

 ミッドウェー環礁は、1903年に米国海軍の管轄下に置かれて以来、ケーブル会社や航空会社などによる開発や、海軍航空基地などの時代を経て、1988年に米国内務省・魚類野生生物局(FWS)の管轄となりました。ミッドウェー環礁国立自然保護区として、アメリカ合衆国のどの州にも属していません。2006年6月に、米国は北西ハワイ諸島と周辺海域を海洋国家遺産に指定し、世界最大の海洋保護区となっていますし、2010年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。

 サンド島、イースタン島、スピット島の3島からなり、最大のサンド島(面積4.8平方キロ)にのみ、FWSの職員と、環礁内の施設や設備の管理会社の社員合わせて80名が住んでいます。

 一時期は一般観光客がエコツアーで訪問することが可能でしたが、当時の施設運営会社の撤退や、その後の保護政策強化などにより、現在は一般観光客の訪問は困難となっています。

 島ではまず、FWSのスタッフから、立ち入ってはいけない場所や、鳥や環境への配慮事項などについて細かな説明を受けます。今回は、サンド島と、イースタン島をレンジャーの同行で歩き、海鳥をはじめとする島の自然を観察しました。また、島内のそこかしこにあるコアホウドリやクロアシアホウドリの雛の死骸を解剖して、体内に誤食したプラスチックなどが残っていないかを調べました。別の日には、ICCのデータカードを使ってごみ調査とクリーンアップ。このほか、藤枝先生はライターや微細ごみ、一定区間内の散乱ごみの調査なども実施しています

 JEANではこれまでに、アラスカ大のステイナー先生などから、コアホウドリの死骸から回収したごみの実物をご提供いただき、その数量の多いこと、日本をはじめとする多くのアジアからのごみが含まれていることは承知していました。貸し出し用展示物の漂着物のトランクミュージアムにも、日本からミッドウェーに流れ着いたごみのトランクがあり、海に出たごみには国境などないことをお伝えしてきました。

 今回、初めて自分の目で確かめて驚いたのは、島中に無数のプラスチックごみが散乱していることでした。海岸などに漂着しているごみもたくさんあるのですが、島のいたるところにキャップ類やライター、牡蠣の養殖漁具などが散乱しています。FWSのジョン・クラビッターさんは「コアホウドリは海中に潜って餌をとることができないので、海面に浮いたり、海面近くを泳いでいるイカや魚を食べる。親は餌と間違えて飲み込んだプラスチックを雛に与えてしまう。これまでに多くの死骸を解剖したが、99.9%、プラスチックを飲み込んでいた。雛は巣立ちの前に、体を軽くするために体内に残っているものを吐き出すが、健康な状態でないと吐き出せない場合がある。島の中のプラスチックごみは、死骸の中に残っていたごみか、雛が吐き出したごみのどちらかで、つまり鳥が海から持ってきたものだ」と話してくれました。死骸から出てくるごみのトップ3は、キャップ、牡蠣の養殖パイプ、ライターだそうです。

 3月11日におきた大震災。あの津波は、夜の11時半過ぎにミッドウェーにも到達しました。最大で1.5メートルの津波が来て、サンド島は2割、イースタン島は6割が冠水し、コアホウドリなどの繁殖地に打撃をあたえ、11万羽の雛が命を落としました。震災によって海へと流れ出した多くのものが漂流物となり、ミッドウェー周辺には1年後には到達すると予測されています。ミッドウェーでは、長期滞在のボランティアなどによって漂着ごみの回収や、外来植物の除去など生態系保全のための活動が行われています。日常的に漂流・漂着するものだけでも対応が大変なのに、その何年分にも相当する数量のものが漂着する可能性について、クラビッターさんも大変心配していました。

 ミッドウェー環礁での津波被害については、一部新聞等で報道もされています。

また、JEANでは8月3日開催の「海ごみプラットフォームJAPAN」ならびに、9月の「海ごみサミット愛媛会議」において、現地調査の結果報告を予定しております。

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